便秘と水分補給の意外な関係
〜「たくさん飲んでいるのに…」の誤解を解きましょう〜
こんにちは。
日本腸セラピー協会代表の加藤です。
「水はしっかり飲んでいるのに、なぜか便秘が改善しない」
「朝コーヒーを飲んでいるから大丈夫だと思っていた」
そんな声を、サロンのお客様からよく伺います。
便秘の原因はひとつではありませんが、その中でも“水分不足”は見落とされがちな要因のひとつです。
そして、水を“飲んでいる”かどうか以上に、「どのように飲んでいるか」が腸の働きに大きく関わっているのです。
今回は、便秘と水分補給の関係性について、東洋医学的な視点も交えながらわかりやすく解説していきます。
水分不足が腸を止める?
私たちの体は、毎日2.5リットル前後の水分を、尿・便・汗・呼気などから自然に排出しています。
このうち、便の約70〜80%は水分。
腸にとって水は、便をスムーズに運び出すための“潤滑油”のような役割を果たしています。
しかし、体の中の水分が不足していると、腸は便に含まれる水分をさらに吸収してしまい、
結果として「硬くて出ない」「コロコロ便になる」「残便感がある」といった状態になりやすくなります。
当サロンに来られる方の多くも、「水をあまり飲まない」「朝起きても水分を摂らない」「トイレの回数が少ない」といった共通点があります。
「1日2リットル」は本当に必要?
「水は1日2リットルが理想」
そう聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?
実はこれ、欧米の生活スタイルや体格を基準にした目安なのです。
欧米では乾燥した気候・乾いた食品(パンなど)・大柄な体格といった背景があるため、多めの水分補給が必要とされます。
一方、日本人は湿度の高い環境で、米や汁物中心の食事をとる傾向があり、体格も欧米人に比べて小柄なことが多いです。
そのため、日本人にとっての理想的な水分摂取量は、1〜1.5リットル前後。
とくにデスクワークの方であれば、「午前中に500ml」「午後に500ml」のペースで、無理なく達成できる分量です。
いつ飲むかが重要です
水分を“どれだけ”飲むかより、“いつ”飲むかのほうが、便秘改善には大切なポイントになります。
おすすめのタイミングは以下の3つです。
① 起床直後
コップ一杯の常温水で腸が動き出しやすくなります。
これは「胃・結腸反射」といって、胃に水が入ることで腸が刺激され、動き始める生理現象です。
② 入浴前後
汗による水分損失を防ぐため、入浴前後にはコップ半分〜1杯を目安に。
③ 就寝前
夜間の脱水対策に、少量の水を。冷たい水よりも常温がおすすめです。
NGな水分補給の例
逆に、腸の調子を乱しやすい水分の摂り方もあります。
- 食事中にたくさんの水を飲む
→胃酸が薄まり、消化力が落ちます。 - 冷たい水を一気に飲む
→腸を冷やし、動きが鈍る原因に。 - コーヒー・紅茶などのカフェイン飲料
→利尿作用が強く、かえって体内の水分が失われやすくなります。
東洋医学から見る「水」と「腸」の関係
東洋医学では、体にたまった“余分な水=湿(しつ)”が体調不良の原因になると考えます。
梅雨〜夏にかけての湿気の多い季節は、体が水分を排出しづらくなり、
「むくみ」「だるさ」「お腹の張り」などの症状が起こりやすくなります。
この時期に、必要以上に水を飲みすぎると“湿邪(しつじゃ)”がたまりやすくなり、かえって腸の動きが鈍ることもあります。
だからこそ、「たくさん飲む」ではなく、「体に合った飲み方を知る」ことが大切なのです。
まとめ|腸にやさしい水分習慣を
便秘改善に必要なのは、「水を飲むぞ」と無理をすることではありません。
日々の習慣の中で、少しずつ腸にやさしい飲み方を取り入れてみてください。
- 朝一杯の水からスタート
- 午前と午後に500mlずつ
- 食事中・カフェインは控えめに
このシンプルな習慣を続けるだけで、お通じのリズムが整っていく方も少なくありません。
当協会では、腸の状態を整えるセルフケアや水分摂取のアドバイスも行っております。
便秘やお腹の張りでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。