下痢は便秘より怖い?
腸セラピストが伝えたい「下痢を軽視してはいけない理由」
こんにちは。日本腸セラピー協会 代表の加藤です。
私はこれまで12年間、腸セラピー専門サロンを運営し、数多くの女性のお腹にふれてきました。
来られるお客様の中には「便秘がつらいんです」とご相談くださる方が非常に多くいらっしゃいます。
もちろん便秘もつらい症状の一つであり、放っておくと慢性的な不調につながっていくため、しっかりと向き合う必要があります。
しかし、同じくらい
いや、もしかするとそれ以上に、私が心配になるのが「下痢が続いている方」です。
中には「少しゆるいですけど、お通じが毎日あるから、むしろ調子が良いんです」とおっしゃる方もいます。
けれども、それが慢性的な下痢である場合、実は非常に深刻なサインかもしれません。
一見“出ている”けれど、体はSOSを出している
下痢は一見、便が出ているため「便秘よりは良い」と思われがちですが、実際には体が異常を知らせているサインです。
下痢が慢性化している状態では、
- 栄養がきちんと吸収されていない
- 腸の粘膜が炎症を起こしている
- 自律神経が乱れている
- 免疫機能が低下している
といった体の内側の異常がすでに進んでいる可能性があります。
腸は“消化”よりも“防衛”を選ぶ
腸は本来、消化・吸収・排泄という働きを持ちますが、異物やストレスを感じると、その働きを止めて「とにかく出す」ことを優先します。
つまり、下痢とは腸が「これは危険」と判断して、防衛的にすべてを外に出そうとしている状態です。
原因として多いのが、
- 冷え
- 強いストレス
- 刺激物の摂取(アルコール、辛いものなど)
- ウイルスや細菌
こうした刺激によって腸が緊張し、排泄を最優先することで、本来の役割を放棄しているのです。
東洋医学から見る「下痢の状態」
東洋医学では、下痢は「脾(ひ)」と「腎(じん)」のエネルギー低下と深く関わるとされています。
脾は消化・吸収をつかさどり、これが弱ることで水分代謝が乱れ、下痢として現れるとされます。
また腎は体を温め、生命エネルギーを司る臓器であり、腎が弱ると冷えが起こり、慢性的な下痢に繋がると考えられます。
さらに東洋医学では、下痢は「気(エネルギー)の不足」や「冷え」による反応としても扱われます。
つまり、下痢は体の深部のエネルギーが不足しているサインともいえるのです。
感情と下痢の関係──「手放せない心」が腸に現れる
腸は「第2の脳」とも呼ばれるほど、感情と深く関係している器官です。
東洋医学では、大腸は「肺」とつながっており、感情では「悲しみ」に関係しているとされます。
悲しみを感じているとき、呼吸が浅くなったり、胸のあたりがつかえる感覚を覚えたことはないでしょうか。
こうした感情の抑圧や未消化が、腸にも反映されることがあり、慢性的な下痢という形で現れることがあります。
下痢の背景には、悲しみだけでなく、
- 不安
- 自己否定
- 心の過緊張
などが重なっているケースもあるのです。
腸セラピーでのアプローチとは?
腸セラピーでは、下痢の症状に対して無理に腸を動かしたり、押し流すような施術は行いません。
代わりに、
- 冷えているお腹にやさしくふれる
- ゆっくりした呼吸を誘導する
- 緊張をゆるめて副交感神経を働かせる
といったやさしい働きかけによって、「腸が安心して休める環境」を整えていきます。
腸に必要なのは刺激ではなく、「整うための余白」です。
そうすることで、腸が本来のリズムを取り戻し、症状が自然と落ち着いていくケースも少なくありません。
まとめ:出ているから安心、は間違い
便秘と違い、「出ている」ことが誤解を招きやすい下痢。
でも、それは“腸が無理をして排出している”だけかもしれません。
慢性的な下痢は、腸からの明確なサインであり、「今の体に無理がかかっている」というメッセージです。
薬や対症療法で抑え込む前に、「腸が何を伝えようとしているのか」を感じてみてください。
腸セラピーは、腸にふれて、腸の声を聴き、腸が安心して休める環境を整えるセラピーです。
出ている=健康、ではありません。