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【8月の腸ケア養生】夏の終わりに気をつけたい「脾(ひ)」とお腹の整え方
こんにちは。日本腸セラピー協会代表の加藤です。
8月に入り、夏の暑さもピークを迎えつつある頃。
でも実は、中医学の世界では、8月は「夏の終わり」ではなく、「長夏(ちょうか)」という独立した季節とされています。
長夏とは、夏と秋のあいだの湿気が多い時期のこと。
この季節は「土(ど)」の性質を持ち、私たちの体では「脾(ひ)」と「胃(い)」が大きく関わってきます。
今回は、そんな8月に意識したい「脾」と腸ケアの関係、そして毎日の生活でできる“長夏の養生”についてお話しします。
「脾(ひ)」とは?腸と深く関係する“消化の要”
中医学でいう「脾」は、西洋医学の“脾臓”とは少し違います。
「脾」とは、消化吸収・栄養の運搬・水分代謝などを司る機能の総称です。
腸の働きとも非常に深く関係しており、脾の調子が整っていると体も心も元気になります。
脾の主な働き
- 飲食物からエネルギーをつくる(運化作用)
食べたものを「気」や「血」に変えて全身に送ります。 - 水分代謝を整える(昇清作用)
余分な水分や老廃物を排出し、体のめぐりを保ちます。 - 内臓を支える力
重力に逆らって内臓を“持ち上げる力”を担います(脾の昇提作用)。
湿気が苦手な脾。「長夏」に起こりやすい不調とは?
長夏の特徴は「高温多湿」。
この湿気が体にこもると、脾の働きが落ち、腸の不調や疲れが起こりやすくなります。
よく見られる不調
- 食欲不振・胃もたれ・下痢や軟便
- むくみ・体のだるさ・朝から疲れている感じ
- お腹の張り・肌荒れ(特にオイリー肌や吹き出物)
- 集中力の低下や倦怠感
これらはすべて、脾がうまく働いていないサインかもしれません。
「長夏」を乗り切るための養生ポイント
では、どのように過ごせば脾と腸を健やかに保てるのでしょうか?
ここでは、日々の食事と生活習慣に分けてご紹介します。
1. 食事で脾をいたわる
- 温かくて消化のよいものを選ぶ
→ 朝はおかゆ、温野菜スープ、やわらかいごはんなどがおすすめです。
→ 冷たい飲み物・生もの・脂っこい料理は控えめに。 - 水分代謝を助ける食材を取り入れる
→ 雑穀米・玄米・ごぼう・大根・山芋などの根菜類
→ わかめ・ひじき・昆布などの海藻類
→ なつめは脾を補い、エネルギー不足の回復にも◎ - 避けたい習慣
→ アルコール・白砂糖の摂りすぎ
→ 夜遅い食事、満腹まで食べる習慣
キーワードは「腹八分目」「温かく」「シンプルに」です。
2. 生活の整え方
- 適度な運動と汗ばむ程度の発汗
→ 軽いウォーキングやヨガ、ストレッチを取り入れ、湿気を体外に出しましょう。 - 朝ごはんをしっかり食べる
→ 午前7〜11時は、脾胃のゴールデンタイムとされている時間帯です。
→ この時間に「温かくて消化しやすい食事」を摂るのがベスト。 - 夜は早めに休む
→ 睡眠不足は気の巡りを滞らせ、脾の疲労につながります。 - ストレスケアを忘れずに
→ 気が滞ると脾も弱りやすくなります。好きな音楽、自然の中の散歩、深呼吸など、“気持ちの養生”も忘れずに。 - お腹を冷やさない
→ 冷房が効いた室内では腹巻きやカーディガンを活用し、胃腸を守りましょう。
お腹を守ることは、自分を整えること
8月は、湿気や暑さで体が無意識に消耗している時期。
こうした季節の変わり目こそ、自分の「お腹」と丁寧に向き合ってほしいと、私たちは願っています。
腸を整えることは、
- 元気な朝を迎えること
- 自然に笑顔が出ること
- 季節の変化に負けない心と体を育てること
につながります。
ぜひこの8月、日々の中に小さな養生を取り入れて、“お腹がよろこぶ”暮らしを始めてみてください。