「これを食べれば腸にいい」は本当か?
12年の腸セラピー実践から見えた、“本当の腸活”の話
こんにちは。日本腸セラピー協会 代表の加藤です。
私はこれまで12年間、腸セラピストとして数多くのお腹と向き合ってきました。
その中で、最近特に感じていることがあります。
それは「腸活」や「腸ケア」という言葉が一般的になった今、情報があふれすぎてしまい、かえって混乱やストレスにつながっている方が多いということです。
腸活ブームの光と影
「腸内環境を整えよう」「発酵食品をとろう」「◯◯は腸に良い」「△△は腸に悪い」──
そんな情報が、SNSや書籍、セミナーを通じて多く発信されています。
実際、腸に関する学びが広がるのはとても良いことだと思います。
しかし、同時にこんな声を聞くことも増えてきました。
「セミナーで知識は得たけど、食べるのが怖くなった」
「◯◯がダメと聞いて、食事が楽しくなくなった」
「良いとされる食品を摂っているのに、なんだか体調が悪い」
実はこれ、私のサロンに来られる方の中にも、とても多いのです。
「知識」は人を救うけれど、ときに人を苦しめる
私たちは、正しさを知ることで安心したい生き物です。
だからこそ、「◯◯は腸に良い」「△△は控えた方がいい」といった明快なメッセージに飛びつきたくなるのも自然なことかもしれません。
でも、本当にそうでしょうか?
腸というのは、ただの器官ではなく、その人の生き方・感情・環境と深く関わる、とても繊細な存在です。
だからこそ「これを食べれば腸が整う」といった“正解”が、全ての人に当てはまるわけではないのです。
あなたにとって「合う食事」は、自分でしか見つけられない
私自身、これまで12年以上お腹にふれてきましたが、はっきり言えることがあります。
それは、「10人いたら10通りの腸の状態がある」ということ。
たとえば、納豆ひとつにしても、「毎日食べて調子がいい人」もいれば、「食べるとガスがたまりやすくなる人」もいます。
ヨーグルトでお腹の調子が整う人もいれば、冷えて便通が乱れる人もいます。
「これを食べて元気になったから、あなたもこれを食べるといい」というのは、善意であっても危うさを含んでいます。
誰かにとっての“正解”が、自分にとっての“正解”とは限らない。
この前提を抜きにしてしまうと、「知識」は“呪縛”になってしまうのです。
腸は「安心」で整う臓器
腸は「第2の脳」と言われるように、感情やストレスにとても敏感な臓器です。
つまり、同じものを食べても、「おいしいな」「安心して食べられるな」と思うときと、「これは本当に腸にいいのかな?」「これって体に悪いって聞いた気がする」と不安に思いながら食べるときとでは、消化の働きもまったく違ってきます。
だからこそ、私たちが大切にしたいのは、“腸が安心できる環境”をつくること。
それは、単に食事の内容だけでなく、
・誰と食べるか
・どんな気持ちで食べるか
・その食材が自分の体に合っているか
といった「食べる環境」や「食べる感覚」を整えることでもあります。
「腸活」は、自分の内側に耳をすませることから始まる
今、腸活が流行していますが、私は「流行にのること」よりも「自分の感覚に戻ること」を大切にしてほしいと思っています。
すぐに結果が出なくてもいい。
少しずつでもいい。
「自分の腸は何を感じているんだろう?」
と、そっと耳を傾けてみてください。
それはきっと、誰かの“正解”をなぞるのではなく、“自分だけの整え方”を見つけていくプロセスです。
まとめ:自分の腸と一緒に“暮らし方”を育てていく
腸は、教科書どおりには動きません。
「何を食べるか」も大事だけれど、
「どう食べるか」「どう感じるか」の方が、もっと腸には響きます。
これからの腸活は、“自分を知る時間”であってほしい。
流行や誰かの体験談に振り回されすぎず、あなたらしい腸との向き合い方を、ゆっくり育てていってください。
それが、腸セラピストとして12年間活動してきた私からお伝えしたい、本当の“腸と食の関係性”です。