元・医薬品業界出身の私が語る
便秘薬の怖さと、腸との正しい向き合い方
こんにちは。日本腸セラピー協会代表の加藤です。
今でこそ腸セラピストとして活動している私ですが、実は以前、医薬品業界に勤務していました。
その経験があるからこそ、「薬の恩恵」と「薬の落とし穴」の両方を、客観的に見てきたつもりです。
今回は、そんな私だからこそ伝えたい「便秘薬を長く使い続けることのリスク」について、腸セラピストとしての視点も交えながらお話します。
「出ればいい」という考えが、腸を弱らせる
便秘薬を使えば、たしかに“出る”ことはあります。
けれど、それが腸が健康になっている証拠か?と聞かれると、私は首を横に振ります。
特に多いのが、「薬がないと出ない体になってしまった」というご相談です。
① 腸の“自力で動く力”が失われていく
多くの市販便秘薬は「刺激性下剤」と呼ばれ、腸の神経を無理やり刺激して動かす仕組みです。
使い続けると、腸は「もう自分で動かなくていいんだ」と誤認し、だんだんサボるようになります。
私のサロンにも、「昔は市販薬1錠で出ていたのに、今は3錠飲んでも出ない…」と話される方が珍しくありません。
実際にあった悲しい事例
忘れられないお客様がいます。
便秘薬を10年以上飲み続けてきたという女性の方でした。
お腹に触れた瞬間、私は驚きました。
腸が“だるだる”に弛緩していて、ハリも弾力もない。まるで使われなくなったゴムのように、腸が伸びきっていたのです。
その方は最終的に、腸を物理的に押し上げるような外科手術を受けたそうですが、
「それでも全く改善しなかった」と深く落胆されていました。
腸の本来の機能が失われてしまってからでは、どれだけ医療の力を使っても、元に戻すのはとても難しいのです。
だからこそ私は、「そうなる前に、気づいてほしい」と強く思っています。
便秘薬のリスクは“腸”だけではない
② 脱水・電解質異常・腹痛などの体調不良
便秘薬によって急激な下痢が起きると、
- 脱水症状
- ミネラルバランスの崩れ
- 慢性的な腹痛や疲労感
といった体全体への負担が出てくることもあります。
高齢者や体力の弱い方、妊娠中の方には特に慎重な対応が必要です。
③ 「腸と心」の関係を乱す
腸は「第二の脳」とも呼ばれ、メンタルや自律神経と密接につながっています。
薬で無理やり排便することが習慣になると、
「また出ないかも」「トイレが不安」などのストレスが積み重なり、
心の不調や不安感を招く悪循環に陥ることもあります。
薬をやめられた方々の変化
では、便秘薬を手放せた方はどう変わっていったのか。
ここで一部をご紹介します。
「薬なしで自然に出る日が少しずつ増えてきて、今では飲まずに過ごせる日が続いています」
(50代・女性)
「“動いている腸の感覚”がわかってきて、自分でコントロールできる感覚が戻ってきました」
(30代・女性)
「薬を使わない自分に自信がつきました」
(40代・男性)
どの方も、共通しているのは腸の声を聞き、整える力を取り戻していったことです。
「薬=悪」ではありませんが…
私は医薬品業界にいた人間として、薬の役割を否定するつもりはありません。
状況によっては、一時的な使用が必要な場合もあるでしょう。
ただし、「気づけばもう何年も飲んでいる」「ないと不安」という状態になっていたら、
その時点で“腸の声”が聞こえにくくなっている可能性があります。
腸には、やさしくふれる選択肢もある
腸は驚くほど繊細で、そして素直です。
- 水分の摂り方
- 冷えない生活
- 食事のタイミングや内容
- 軽い運動やストレッチ
- ゆっくり休む時間
- そして「腸にふれる」という行為
こうした要素を少しずつ生活に取り入れていくことで、腸は確実に変わっていきます。
腸セラピーは、そのひとつの“やさしい選択肢”です。
まとめ|腸を“育てる”視点で向き合う
便秘薬は、急な対応としては便利かもしれません。
ですが、毎日のように使い続けることは、腸を「甘やかす」のではなく、弱らせていくことに他なりません。
もし今、便秘薬が手放せずに不安を感じているなら、今日から少しずつでも、“違う選択肢”に目を向けてみてください。
腸はきっと、あなたのその一歩に応えてくれるはずです。